フリーランスエンジニアのキャリアパス
2021/09/07
フリーランスのエンジニアは個人事業主になるので、どのようなキャリアを歩むのかは自分で考えなければなりません。
IT業界は慢性的な人手不足ですし、収入も他の業界に比べれば比較的高い傾向にあります。
とはいえ、何のプランも無しに何十年も生き抜いて、尚且つ収入を上げられる程甘い業界ではありません。
会社員の場合、会社がどのようなキャリアを歩むかを提示してくれる場合がありますし、そうでなくとも先輩社員というお手本があります。
そこで、今回の記事ではフリーランスのエンジニアが歩むべきキャリアプランについて解説をしていきます。
キャリアプランの例
フリーランスのエンジニアのキャリアプランといっても難しく考える必要はありません。
野球やサッカーの選手で例えるならば、一生現役で勝負するか、それとも監督やコーチになるか、球団職員になるか、球団の経営陣に加わるか、といったところです。
それぞれのプランに合わせて準備や行動をすべきです。
ずっとプログラマーとして活動する
ずっとプログラマーとして活動していく、というキャリアプランを進む人は少なくありません。
パソコンが好き、プログラミングが好き、という人にはお勧めのキャリアプランです。
また、プログラミングの案件はクラウドワークス等に豊富にありますし、講師などの仕事も出来るので、活動範囲が非常に広いのが魅力です。
デメリットとしては、絶えず新しい言語を学び続けなければいけない、という事です。
ITの技術は技術革新が早く、既存の技術はいつニーズが無くなるか、全く予想がつきません。
現在人気が急上昇中のプログラミング言語であるPythonやGo、昔から様々なシステムに使われているJavaやC言語がCOBOLと同じような運命をたどらないとは断言できません。
また、元々持っている技術が廃れてから新しい言語を学んでも遅いので、プログラミングの仕事をしているのと同じ時に新しいプログラミング言語を学ぶべきです。
またプログラミング言語がどんどん簡単になってきているのも気になります。(非常に初期の頃のプログラミング言語は0と1だけで全ての処理を記述しているのに対し、PythonやRubyは非常に簡単です。)
いずれ労働力が供給過剰になり、給与が下がる事もあり得ます。
上流工程を目指す
上流工程とは、システムやアプリケーションの設計や要件定義を行う工程で、IT業界の中でも人材不足が深刻な工程の1つです。
システムやアプリケーションの設計や要件定義を行えるようになるには、プログラミング等のIT技術の広範な知識は勿論、業務経験も必須です。
また要件定義や設計の仕事内容は現場によって、業務フローやルール、ドキュメントのフォーマットも異なってくるので、高い理解力や対応力も必要になります。
求められる能力がそれなりに高いので、100%こなせられる人間はそう多くないです。
簡単に出来る工程ではないとはいえ、年収もかなり上がるので目指す価値はかなりあります。
管理職に進む
フリーランスのエンジニアにも管理職があり、それがプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーです。
プロジェクトのスケジュールや予算の管理に加え、部下の教育やセキュリティインシデントの対応もしなくてはいけないので、担当業務はかなり多岐に渡ります。
プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーになるには、豊富なITへの知識や業務経験に加え、高いコミュニケーション能力が必要です。
プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーのニーズも上流工程を担当できるエンジニア同様、かなり高いので、年収もかなり高いです。
背負う責任や心身への負担も大きく、年末年始含めて休日返上で仕事をする事も珍しくないですが、非常に貴重な経験が出来ますし、後述する経営者への転身をする場合にも役立つ経験です。
また年収1000万円を超える人も少なくないので、多くのエンジニアがこのキャリアプランを選択し、最終目標を達成するために日々の業務や勉強を頑張っています。
ブリッジSEになる
ブリッジSEとはインドや中国、ベトナムや韓国などのIT企業にシステムやアプリケーションのコーディングを依頼する際に、発注元と発注先の企業の橋渡しをする役割のエンジニアの事です。
近年開発費用の低さからオフショア開発が流行しており、ニーズや収入も高いです。
その分求められる能力も非常に高く、ITの知識や高いコミュニケーション能力に加え英語や中国語の他、その国の文化やマナーにも精通していなくてはなりません。
IT業界の外交官と言っても過言ではなく、IT業界の職種の中でも特に難易度の高い、特殊な仕事を任せられます。
営業に転身する
エンジニア出身の営業は意外に多いです。
特にSES業界の場合、現場の実情に加えて技術の事も把握しているので、ぴったりの人材を紹介出来る場合が多く、顧客からの信頼が得やすいです。
なので、フリーランスのエンジニア出身の営業も沢山います。
ITの営業にもフリーランスで活動している人がいます。
IT業界の最新の動向やトレンドを知る事が出来るので、後述する経営者への転身をする前に一度営業を経験してみるのも良い選択肢です。
経営者になる
日本の平均年収からすると相当に高いとはいえ、フリーランスのエンジニアの年収で1000万円台で止まる事が多いです。
税金などの要素もあるので、幾らフリーランスといえども年収には上限があると考えて良いです。
この上限を無くすために、経営者になる、という選択肢があります。
SESの事業を始めるのも良いですし、スクールの運営やアプリや教材の販売をする会社を始めても良いです。
ITの会社といっても、事業の内容には様々な選択肢があります。
またSES事業やアプリの販売のビジネスをする会社を経営する場合、やり方によってはオフィスを借りずに済むため家賃がかからないので、比較的少ない元手で会社の経営を始める事が出来ます。
また、エンジニアとして働いていた時に広げた人脈を有効に使う事も出来ます。
しかし会社の数の割にIT業界は案外狭い業界で、新しく設立された会社の名前や評判は直ぐに同業他社に伝わってしまうので、安易な引き抜きや仕入れた業務知識の流用などはお勧めできません。
もし会社を経営する時は、きちんと筋を通さなくてはいけません。
役人になる
フリーランスにしても経営者にしても、会社員に比べて社会的な信用が低く、そのせいでローンが組めない、などのデメリットがあります。
そこでこれらのデメリットを解消するために、いっそのことフリーランスとは対極の立ち位置にいる役人になる、という選択肢もあります。
近頃発足されるデジタル庁での募集があることは勿論、近年のサイバー犯罪の増加により、自衛隊や警察でもITエンジニアの募集を継続的に行っています。
中でも自衛隊や警察にITエンジニアとして就職する事が出来た場合、諸外国の公安機関や警察機関の職員と交流を出来る機会もあるので、エンジニアとして更に成長できます。
公務員になった場合、社会貢献度の高い、スケールの大きな仕事に関わる事も出来るのが魅力です。
フリーランスとしてまず己を追い込んで技術を付けてから上記のような役人になる、というキャリアプランは長期的に見ればかなり安定しており、手に職を付けることが出来ます。
キャリアプランを考えるために必要な事
人間は誰しも教科書や先生など、考えるきっかけや材料が無いと中々その事を考えられません。
積極的にセミナーや交流会に出て、自分より年収が上のエンジニアとなるべく交流を育む必要があります。
必ず自分より年収が上の人でなければいけません。
その人の話を参考にしてキャリアプランを考えるのがおすすめです。
勿論各種の書籍を読んで研究し、キャリアプランを形成する事もおすすめです。
そもそもなぜキャリアプランが必要なのか
社会状況や法律の変化により仕事のニーズは変わってきますし、それに加えてITの技術は日々進化しているので、将来どのような仕事をするのかを考えることは非常に大切です。
また、年齢によっても社会や企業から求められる役割が変わってきます。
年齢が若い時はヘルプデスクやキッティング等のロースキルエンジニア向けの仕事は沢山あります。(新型コロナウイルスの影響で最近はそれさえも怪しくなってきましたが…。)
しかし年齢を積み重ねるにつれて、マネージャーやリーダーの方が年下という状況になり、仕事が徐々に少なくなります。
年下の部下、という存在には誰しもやりにくさを感じるものです。
またもし仕事を貰えたとしても年収はかなり低い段階で頭打ちになる可能性が非常に高く、そもそも新型コロナウイルスの有無に関係なく人工知能やデータベースの発達により、ロースキルでも出来る仕事自体が無くなるという可能性もあり得ます。
フリーランスは年収も含めて自由に出来るからこそ、人生の計画、つまりキャリアプランが必要です。
このキャリアプランの選択が出来て初めてどうやって自己研鑽をするかが決まり、その自己研鑽をきちんとやったエンジニアだけが充実した人生を営む事が出来ます。